けはひ イ、なるもの…北へ 10月24日(土)-11月15日(日)
けはひ イ、なるもの…北へ
10月24日(土)-11月15日(日) 休廊 10/26(月) 11/9(月)
13:00―19:00(最終日18:00まで)
入場無料
由良環(ゆらたまき)と佐佐木實(ささきみのる)の二人による展覧会を開催いたします(企画:石井仁志)。
写真家の由良は長い間都市を撮影して評価を受けてきましたが、今回初めて北海道の自然を撮影をした作品を発表いたします。佐佐木は人間の言語活動に強い関心をもち、そこに着想を得て、書ともドローイングとも何とも形容し難い作品を制作しています。この二人が石井のディレクションで交差する展覧会です。
<作家名と作家ごとの制作テーマ/作品名>
由良 環 「retar mosir レタル モシリ ―静かなる北端―」
佐佐木 實 「イ充(み)つ」
<展覧会開催にあたって 企画者より>
風景の内に感じられる気配は、時に人知を軽々と越え、いにしえからの歴史を映し出す。それは必ずしも心地よい感覚を伝えてくるものではない。背筋のあたりにザワザワとおののきを与えてくる。そんな気配を北の大地の写真が伝えてきた。ここには、イ、なるもの、その初めから当今までが異なった回路で記録され続けた。まさに血の差異を伝える意味が語り継がれた。空間にイ、が充満している。始まりの音、緊張、弛緩、喰い縛る、持続するイミ…。ことわり(理)を空(くう)にして、情の赴くままにカムイは飛翔した。紙の上にイ、が撒き敷かれ論理と情念のはざまをめぐり歩く。印画を焼き付けた黒白の紙、写真が全ての幻影を呼び込み昇華する。作品達が、それぞれの意味を確認しあうように呼応し、けはひ…(気配)を醸し出す。時として表現は時代によって様々に咀嚼され、異なる味を引き出された。そのとき記録された風景が、異ジャンルの芸術から新しい意味づけを付加されて、さらに輝きを増す。照らされた道理は虚言を弄ぶものを葬り、新しい美を、けはひ…(気配)にそっと忍ばせる。ふたつの感性。その溶け合う場で発見を味わおう。磁場として鑑賞する人々を深く魅了する作品群。もう一歩、けはひ…(気配)の内へ踏み込もう。
石井仁志 (メディア評論、メディアプロデューサー)
■由良 環 Tamaki Yura
長野市生まれ。東京造形大学建築コース卒業。2012年写真集『TOPOPHILIA』出版(コスモスインターナショナル)。2013年日本写真協会賞新人賞受賞。
本展では2014年に北海道を撮影した「retar mosir レタル モシリ ―静かなる北端―」のシリーズを発表。自身初の自然を見つめた作品である。
個展:Kodak Photo Salon(東京2001/2007)、Gallery Q(東京2002)、Atelier AE(パリ2004)、Espace JIPANGO(パリ2006)、森岡書店(東京2009/2012)、Nikon Salon 銀座(東京2012)。
『日本写真協会賞受賞作品展』富士フィルムフォトサロン(東京2013)、『長野県生まれの写真家たち』北野カルチュラルセンター(長野2013)/ポートレートギャラリー(東京2014)/飯田市美術博物館(飯田2014)、『NODE』シリウス(東京2014)。
■佐佐木 實 Minoru Sasaki
盛岡市生まれ。東京藝術大学大学院修士課程(美学)、フランス国立社会科学高等研究院博士課程(言語学)修了。博士(言語学)。平成二十二年度岩手県美術選奨。
人間の言語活動を問う、書ともドローイングとも何とも形容し難い作品を制作。本展では「イ」の文字ばかりの「イ充つ」のシリーズを発表。
個展:村松画廊(東京1997)、Comptoir des écritures(パリ2001)、盛久ギャラリー(盛岡2009/2011)、新潟絵屋(新潟2011/2014/2015)。Cyg art gallery(盛岡2012)、OGU MAG(東京2013)。
富山県立山博物館天界窟(立山町1995、常設)、『特別展示 佐佐木實の書』砂丘館(新潟2011)、『1年後のIMA』岩手県立美術館(盛岡2012)、『Art Gent 2013』Flanders Expo(ゲント2013)、『明日の仕事、12人』Gallery 彩園子(盛岡2014)。
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(イベント情報)
岡安圭子朗読会
『アイヌ言葉をめぐって』
本展の由良の作品は北海道を題材としています。その北海道―アイヌの言葉を用いて、朗読のパフォーマンスを試みます。朗読家の岡安圭子氏を迎え、岡安/由良/佐佐木が交差する朗読会です。
11月3日(火、祝)
第一回15:00―15:30 第二回17:30―18:00
入場無料(Drink 300円)