川島紀良 写真展「Zephyros」 2019/4/30(火) -5/5(日)
川島紀良 写真展「Zephyros」
2019.4.30(火) -5.5(日)
open 13:00-19:00(トークがある5.2(木)/ 5.4(土) の展示は18:15 まで)
「耳を出したら」口にしたくてできない。
あなたはわたしのものではないから、耳を、という欲望に答える必要はない。
残念ながら、わたしもあなたのものではないから、耳を、と発したいわたしをあなたが弄ぶこともない。
仕方がないので自分の耳をつまむ。ひんやりした柔らかい感触に息を飲む。ぼんやりしてきた。この行為は意味があることなのかと考える。耳たぶをつかみ考える。
かきわけ行く。瞳が傷付くことも恐れない。
耳、を見たい一心、瞼は出っ張りちょっととがって、カメラのレンズのフードのようだ。
ちく、触れる枝毛にじょじょに瞼が腫れる。穏やかな丘になった手にさわる。
「伸びたね。寒かったから」
「そう、冬でした」
「ぶらぶらしましょうか」
髪をめくることはできない。幾人も、幾度も、声が通り抜けた耳が、髪で秋から閉じられている。乾き気味な、まだ伸びる髪を使い、人のより大きい手の平、甲、指のはらを使い、響きの波から守ろうとしている。荒れるのを怖がっている。
首筋の影は髪より濃い。背から見るとわかる。
歩いているうち、影へ、緑が射す。
木々の中に溶け、ふさいだ耳が、鳥が鳴くのにも汗ばむ。
耳の扉の向こうはとどろいている。
吹き、啄まれて花弁が滑る。
Zephyros(ゼピュロス)はギリシャ神話の西風の神。
地中海人にとって実りをもたらす春の風。
〔トークセッション〕無料/ 事前申込不要
5.2(木)・峰崎野人(ゲスト)18:30-19:30
「語り掛ける」
声を出さないままに語り掛ける風景、写真。私たちはそこで、その前で何をしているのだろう。
そんな疑問だらけで、写真家の峰崎野人さんと話したいです。
5.4(土)・豊原康久(ゲスト)18:30-19:30
「凸凹の道」
町、海辺でスナップし続ける人、写真家の豊原康久さんの来た道、行方を追い掛け、私も人の歩くところを歩いてきています。
その眼並ぶ、一緒に見る、この場所で、ふたたび会いたいです。
■川島紀良 Noriyoshi Kawashima
1972年 東京都生まれ
日本大学芸術学部文芸学科 卒業
東京綜合写真専門学校第二学科 中退
現在 フリーランスフォトグラファー
2010年 写真展「Zephyros」サードディストリクトギャラリー
2016年 写真展「Zephyros」ギャラリーOGUMAG
2018年 写真展「Zephyros」ギャラリーOGUMAG
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