top of page
  • Instagramの - 灰色の円
  • Facebookの - 灰色の円
  • Twitterの - 灰色の円

RECENT POSTS: 

川島紀良 写真展「Zephyros」 2019/4/30(火) -5/5(日)

川島紀良 写真展「Zephyros」

2019.4.30(火) -5.5(日)

open 13:00-19:00(トークがある5.2(木)/ 5.4(土) の展示は18:15 まで)

「耳を出したら」口にしたくてできない。

 あなたはわたしのものではないから、耳を、という欲望に答える必要はない。

 残念ながら、わたしもあなたのものではないから、耳を、と発したいわたしをあなたが弄ぶこともない。

 仕方がないので自分の耳をつまむ。ひんやりした柔らかい感触に息を飲む。ぼんやりしてきた。この行為は意味があることなのかと考える。耳たぶをつかみ考える。

 かきわけ行く。瞳が傷付くことも恐れない。

 耳、を見たい一心、瞼は出っ張りちょっととがって、カメラのレンズのフードのようだ。

 ちく、触れる枝毛にじょじょに瞼が腫れる。穏やかな丘になった手にさわる。

「伸びたね。寒かったから」

「そう、冬でした」

「ぶらぶらしましょうか」

 髪をめくることはできない。幾人も、幾度も、声が通り抜けた耳が、髪で秋から閉じられている。乾き気味な、まだ伸びる髪を使い、人のより大きい手の平、甲、指のはらを使い、響きの波から守ろうとしている。荒れるのを怖がっている。

 首筋の影は髪より濃い。背から見るとわかる。

 歩いているうち、影へ、緑が射す。

 木々の中に溶け、ふさいだ耳が、鳥が鳴くのにも汗ばむ。

 耳の扉の向こうはとどろいている。

 吹き、啄まれて花弁が滑る。

 Zephyros(ゼピュロス)はギリシャ神話の西風の神。

 地中海人にとって実りをもたらす春の風。

〔トークセッション〕無料/ 事前申込不要

5.2(木)・峰崎野人(ゲスト)18:30-19:30

「語り掛ける」

 声を出さないままに語り掛ける風景、写真。私たちはそこで、その前で何をしているのだろう。

 そんな疑問だらけで、写真家の峰崎野人さんと話したいです。

5.4(土)・豊原康久(ゲスト)18:30-19:30

「凸凹の道」

 町、海辺でスナップし続ける人、写真家の豊原康久さんの来た道、行方を追い掛け、私も人の歩くところを歩いてきています。

 その眼並ぶ、一緒に見る、この場所で、ふたたび会いたいです。

■川島紀良 Noriyoshi Kawashima

1972年 東京都生まれ

日本大学芸術学部文芸学科 卒業

東京綜合写真専門学校第二学科 中退

現在 フリーランスフォトグラファー

2010年 写真展「Zephyros」サードディストリクトギャラリー

2016年 写真展「Zephyros」ギャラリーOGUMAG

2018年 写真展「Zephyros」ギャラリーOGUMAG

コメント


  • グレーInstagramのアイコン
  • グレーFacebookのアイコン
  • グレーTwitterのアイコン
bottom of page